[お酒の紹介]
2024年07月12日
【トマーティン】微細な香りと甘みのウイスキー
トマーティンの概要
トマーティンはスコットランドのハイランド地方で生産されるシングルモルトウイスキーで、日本の酒造メーカーである宝酒造がそのオーナーを務めています。トマーティンは、日本企業が初めて所有した蒸溜所として知られています(2番目はニッカウヰスキーが買収したベン・ネヴィス蒸溜所です)。生産されたウイスキーの多くは、ブレンデッドウイスキーのアンティクァリー、ビッグT、エンシェントクランなどのキーモルトとして使用されていましたが、2004年からは12年、18年、30年のシングルモルトをリリースするようになりました。2017年には、「トマーティン ザ・ファイブ・ヴァーチューズ シリーズ」をリリースし、古くから東洋で用いられてきた五行説に基づく自然界の5つの元素、「木・火・地・金属・水」をテーマにしたことで注目を集めました。現在では、リーズナブルで庶民に親しまれている「トマーティン レガシー」や、へビリーピーテッド麦芽を使用した「ク・ボカン」シリーズなどが人気です
発祥
トマーティン蒸溜所は1897年に地元投資家により設立されました。赤がシンボルカラーで、スコットランド北東部のインヴァネスから南に約24キロのトマーティン村に位置し、標高310メートルでスコットランドで3番目に高い蒸溜所です。かつては家畜を運ぶ「ドローバー」の休憩地であり、密造ウイスキーの製造地としても知られていました。蒸溜所近くには15世紀のオールド・レアーズ・ハウスがあり、密造ウイスキーの受け渡し場でした。また、カロデンの戦い後にハイランド兵士たちが別れの杯を交わした「別れの丘」から流れる「自由の小川」の水を仕込み水として使用しています。
歴史
トマーティン蒸溜所は、1897年にインヴァネスの実業家によって設立されましたが、1906年には閉鎖。しかし、1909年に再開され、その後のスコッチウイスキーブームに乗って急成長しました。1956年にはポットスチルが2基から4基に増設され、その後も拡大を続け、1974年には23基に達しました。年間生産量は2200万リットルにもなり、グレンリベットやグレンモーレンジと並ぶ規模となりました。しかし、1980年代に入ると過度な投資と不況の影響で倒産。これを救ったのが、日本の宝酒造と大倉商事で、彼らの買収により、日本企業が所有する初の蒸溜所となりました。
ラインナップ
トマーティン レガシー:香りは新鮮で、若々しい柑橘の香りが際立ち、カラメルやミルクチョコのニュアンスも感じられます。
トマーティン 12年:バニラとオークの香りに加え、シェリー由来のレーズンやプラムの香りが楽しめます。
トマーティン 18年:シェリーの影響が強く、レーズンなどのドライフルーツやオレンジマーマレード、ハチミツの味わいが特徴です。
トマーティン ク・ボカン:カステラの甘さが広がり、その後に青リンゴ、バニラ、スモーク、そしてコショウのスパイシーさが続きます