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概要

　バルヴェニーは、スコットランドのスペイサイド地方で造られるシングルモルト・ウイスキーで、創設者はあのグレンフィディックを立ち上げたウィリアム・グラント氏です。グレンフィディックと同じく、現在もグランツ社（William Grant & Sons）の所有のもとで製造されています。
　同じスペイサイド地方に位置し、共通の創業者を持つことから、グレンフィディックとバルヴェニーにはいくつかの共通点があります。例えば、どちらも同社の管理のもとで蒸溜され、同じ水源を使用している点です。しかし、バルヴェニーはよりリッチで複雑な味わいを持ち、特に「蜂蜜のような甘み」と「ふくよかな麦の風味」が際立っています。
　

製法

　バルヴェニーは、伝統的な製法を継承しながらも独自のこだわりを持ったウイスキー造りを行っています。まず、現在では珍しいフロアモルティングを自社で行い、大麦を手作業で発芽・乾燥させることで、より穏やかでまろやかな麦の風味を生み出しています。
　また、蒸溜には独自の銅製ポットスチルを使用しており、ネックが短く太めの形状が特徴です。この設計により、より豊かでオイリーな口当たりのウイスキーが生まれます。
　さらに、バルヴェニーの熟成には厳選された樽が用いられ、特にダブルウッド製法がブランドを象徴する技術となっています。この製法では、アメリカンオークのバーボン樽で熟成した後、ヨーロピアンオークのシェリー樽で後熟を行うことで、バニラのような甘みとスパイシーな奥行きを兼ね備えた味わいを実現しています。また、一部のラインナップではラム樽やポートワイン樽での後熟も採用し、より複雑で芳醇な風味を生み出しています。

ラインナップ

●バルヴェニー 12年 ダブルウッド
　バーボン樽とシェリー樽の熟成を経た、バニラや蜂蜜の甘みとスパイスのバランスが絶妙な一本。
●バルヴェニー 14年 カリビアンカスク
　ラム樽で後熟し、トロピカルフルーツのような甘みとオークの風味が特徴。
●バルヴェニー 17年 ダブルウッド
　12年のダブルウッドをさらに熟成させ、よりリッチで滑らかな口当たりに。
●バルヴェニー 21年 ポートウッド
　ポートワインの樽で後熟し、フルーティーで複雑な余韻が楽しめる。


　バルヴェニーは、そのリッチでコクのある味わいと、伝統的な製法を大切にしたウイスキー造りによって、「モルト通」や「玄人向け」と評されることが多いブランドです。蜂蜜の甘み、バニラのような滑らかさ、そして樽由来のスパイスやナッツの風味が絶妙に絡み合い、奥深い余韻を楽しめるのが特徴です。そのため、グレンフィディックのような飲みやすさを求める初心者向けというよりは、じっくりとウイスキーを味わいたい愛好家から支持を集めています。